聴き流しでリスニングが身に付くという、願望という名の妄想。その1

はい、いきなりですが、タイトルどおりの厳しい言葉の羅列をします。

よくありますよね、勉強する必要なんか無いんです!ただ聞き流すだけ!!あるいは、赤ちゃんは言葉を勉強しませんよね?とも。この二つの宣伝文句に共通する、勉強というフレーズ。私もそうですが、好き好んで勉強する人なんか、まずいません。するとすれば、目的があるからです。そして、勉強という行動は、少なからず苦しみを伴います。

教本や教科書を広げては、文章を読み込んでいったり、分からない単語があれば、辞書を引く。文法やら三単現のSやら、はたまたaとtheの使い分け。人に会った時の挨拶だって、目上の人用と親しい人用はどう違うのか?を覚えたり。そもそも、主語やら述語やらの並びが、日本語と全然違う。これだけでも存分に頭痛が痛いのに、学校の授業では、先生が黒板に書いた文章の単語を指しながら、「このwhoは主語にかかっており、つまり彼が新しいゲームソフトを欲しがっているという考えを表す文章につながっている。こうした文章が、主格に対する関係代名詞と言い~」と、大学の講義でも聞かされているかのような、この単語が修飾語で~とか、これが冠詞で~といった細々とした解説の羅列を終業のベルが鳴るまで延々聞かされる。こんな事を卒業まで聞かされて、英語の勉強が好きになれるハズなどありえません。中学英語の授業の80パーセントは、ほぼこんな流れでした。それに比べて、高校英語の授業のなんと静かなことか。用語解説は鳴りを潜め、国語の授業みたいなノリで進行するので、楽しく学習が出来ました。

社会人になり、海外勤務が見えてきて、慌てて英語の勉強。でも、もうあんな苦しみはイヤ!そこへ、もう勉強という苦行から解放されて、しかも英語がペラペラに!という、必殺のキャッチフレーズ。これで、コロッと落ちて高額な教材を買い込んで、結局終わらせることなくリタイアする。これも、お馴染みの風景です。

結論から言います。楽して、リスニングは身に付くことなど、ありえません。なぜなら、我々は生まれたばかりの赤ちゃんではないから。そして、日本語という言葉を操る、ジャパニーズネイティブスピーカーだからです。何を言いたいのか、当の日本人でさえ、見失いがちな日本語使いの私たちが、文章の先頭に言いたいことをハッキリ示す英語を覚え、聞き取れるようになり、話せるようになるまでが簡単ではない事は、子供でも理解出来ます。なぜ既に分かりきった事実から、目を背けるのでしょうか?

どこが分からないのか、分からない。これは、全部が分からないということに他なりません。素直に、全然分からない自分を認めましょう。いまさら、文法なんて?それを言えるほど、たくさんの文章と単語を聴いて口ずさんで、自然体で英会話が出来るレベルまで記憶しましたか?

まずは、3000語の単語を覚えられるまでは、中学英語の文法からやり直しましょう。それが出来たら、今度は瞬間英作文。なにも、長ったらしい文章を訳す必要などありません。青い表紙の、黒猫がトレードマークのあの本で充分です。それと並行する感じで、これまたオリジナルの短い英文を作って、ひとりで脳内でコントやらショートドラマをやってみるのです。

次回のその2では、もう少し具体的なお話をしたいと思います。